ビンテージGuildから影響を受けたクラシックなデザインのボディに、多彩な音作りにも対応するSSHレイアウトのピックアップを搭載したSurfliner Deluxe。現在、本器をメイン・ギターとして愛用しているのがCHIANZ(読み:チアンズ)のChieだ。表情豊かなテクニックで楽曲に華を添える実力派ギタリストの彼女に、実演を交えながらその魅力を語ってもらった。
カリフォルニアの海岸線からインスパイアを受けて誕生したSurflinerの進化系、Surfliner Deluxe。ブランド史上初となるローステッド・メイプル・ネックを採用しており、サテン・フィニッシュを施すことで快適な演奏性を実現。ピックアップには、フロントとミドルにDeArmond Aerosonic(シングルコイル)、リアにアルニコIIマグネットを使用したHB-2(ハムバッカー)を搭載。表情豊かなサウンドメイクを楽しめるモデルに仕上がっている。また本モデルのために開発されたGuild Floating Vibrato Tailpieceを使えば、フレーズに更なる彩りを加えることができる。
Chie
2020年にA-Sketchより4人組バンドHi Cheers!の一員としてデビュー。2023年のバンド解散後は、2024年に幼馴染みである月川怜(b)、eill(key、vo)、Foi(vo、g)と結成したガールズ・バンドのCHIANZや、月川とのユニットであるYABI×YABIのギター&ボーカルとして活動中。ギターだけでなく三味線、バンジョー、ウクレレを自由自在に操る実力派マルチ・プレイヤーであり、バンド以外にもライブやレコーディングなどのサポートといったさまざまな現場で活躍している。
──Surfliner Deluxeの第一印象について教えて下さい。
高級感のある見た目で、本当にオシャレだと思いました。どのカラーも素敵だったんですけど、以前から緑色のギターが欲しいと思っていたのと、個性的な色味が自分に馴染んでくれる気がしたので、このエバーグリーン・メタリックを選びました。ボディのコンター部分は、照明に当たると表面に良い感じのコントラストができて可愛いんですよ。ライブ写真で見た時にカッコいいので、イチオシのポイントです。細かい部分にもこだわりが詰まっていて、インテリアとして飾りたいくらいSurfliner Deluxeのビジュは気に入っていますね。
──ローステッド加工が施されたネックの弾き心地は?
サテン・フィニッシュのおかげでとても弾きやすいです。手にすごく馴染んでくれるので、演奏している時の安定感はすごく高いですね。あとビンテージ・ギターのような乾いた音がするというところもローステッド・メイプルの特徴のひとつなのかなって思います。
──ギターを抱えてみた時のバランスはいかがですか?
すごく体にフィットするシェイプだと思います。長い時間弾いていても疲れないので、演奏時のストレスはかなり減りましたね。
──実際に音を出して感じた印象は?
右手のタッチに対して、ギターが素直に反応してくれるギターだと思いました。アグレッシブに弾くとロックな音になるし、柔らかいタッチで弾いたら優しい音色が出せますね。このSSH仕様のピックアップは、5つのパターンを使い分けられるので、音作りに対する汎用性がすごく高いと思いました。どんなシチュエーションにも対応できる実力があって、本当に素晴らしいと思います。
──Chieさんが好きなピックアップ・ポジションは?
私はセレクターをセンターにした時のミックス・ポジション(フロント・シングルコイル+リア・ハムバッカー)の音がすごく好きで、最近はメインで使っています。きらびやかなリアと繊細なフロントの“いいとこ取り”をしたようなサウンドで、歪みのノリもすごく良いんですよ。あとリアのハムバッカーを歪ませてギター・ソロを弾くのも好きです。ローがタイトなのでフレーズが映えるんですよ。フロント・ピックアップは、ふくよかでリッチなトーンです。コードを弾いた時も明瞭に鳴ってくれるし、音抜けもいいので、音数の多いバンド・アンサンブルの中でもギターが埋もれないんですよね。すごく使いやすいと思います。各ポジションごとに個性があるので、いろんな音を使い分けてみたくなります。
──フローティング・ヴィブラート・トレモロの効き具合はどうですか?
すごく良い感じだと思います。私の場合、ロックな曲の時にアームをガシガシ使ってしまうんですけど、チューニングはあまり狂わないので安心して使えていますね。繊細なフレーズで音を揺らすのにもバッチリ合うので、ついついアームを使ってしまいます。
──エフェクターとの相性は?
Surfliner Deluxeは、エフェクターの音を素直に出してくれる感じがしました。特にハムバッカーに歪みエフェクターを組み合わせて作るロックな音が好きですね。もともとの“素の音”が良いので、空間系のエフェクターにも合いますね。あと、Surfliner Deluxe自体が右手のタッチを素直に反映してくれるギターなので、ワウとの相性もバッチリだと思います。特にシングル+ハムバッカーというセンター・ポジションで弾くとすごく気持ちがいいんですよ。
──Guildに対する印象を教えて下さい。
Surfliner Deluxeを使う前までは、歴史のあるメーカーということもあってちょっとレトロなイメージを持っていました。でも、実際にこのギターを使ってみたら、ビンテージとモダンの良い部分を併せ持っていることを実感しました。今では、確固たるオリジナリティを持った個性的な楽器ブランドだと思っています。私自身、Surfliner Deluxeを使うようになってから、対バン相手のギタリストから“カッコいいギターですね!”って声をかけられる機会がすごく増えたんですよ。なので、これからGuildのギターはもっと流行るんじゃないかなって思っています(笑)。
──改めて、Surfliner Deluxeの魅力をお願いします。
自分が弾きたいイメージとアンプから出てくる音がリンクしているのは、Surfliner Deluxeの特徴だと思います。頭の中で“こんな音を出したいな”って思った時に、すぐに正解までたどり着けるんですよ。思いついたアイデアを、そのままフレーズとしてアウトプットできるというのは、自分の気持ちをギターで表現する上でとても大事ですから。そういう部分も含めて Surfliner Deluxeは、クラシックな音楽ジャンルの演奏からモダンな表現にまで幅広く対応してくれるので、初心者から経験者まで世代や老若男女を問わず楽しむことができるギターだと思います。しかも、ここまでリーズナブルな価格帯でこれだけの実力を兼ね備えたモデルはなかなかないので、本当にジャンルやプレイヤーの演奏スタイルを選ぶことなく活躍してくれるんじゃないかな。私自身、ギタリストとしてオリジナリティや個性的な音をもっと大胆に表現できるようになっていきたいので、これからもこのギターと一緒に成長していきたいと思っています。
場所=Yamaha Sound Crossing Shibuya
取材=尾藤雅哉(BITTERS)
動画撮影・編集、写真=熊谷和樹、岩佐篤樹
録音・ミックス=嵩井翔平